(※1)コミックス『終わりのセラフ』第3巻 P180-181
大事な家族を吸血鬼に殺され、復讐のために生きる百夜優一郎。

──小説版では過去のエピソードを書かれていますが、(終わりは)何巻までと決まっていたんですか?

栗田:当初は、とりあえず5巻までで、滅亡まで書こうかなって言ってました。

──4月発売巻が小説版第5巻ですよね?

:全然、滅亡してないですね、むしろますます話が広がっています。

栗田:5巻の最後には意外なキャラクターも出てきますしね。

小菅:4巻のラストには見たことある名前がいっぱい出てきましたし、それまでも、結構漫画版に登場するキャラクターがちょくちょく出てくる。ミカやフェリド・バートリー、シノアも出ますし、優一郎も登場しますし、5巻にはついにあのキャラが……。

──漫画版のキャラクターが出てくる、小説版『終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅』ですが、漫画では明かされない謎が、どんどん明かされてますよね? 黙示録のラッパを吹くなど、いくつかキーワードが出ている「終わりのセラフ」の秘密は、どちらで明かされるのでしょうか?

:おそらく小説版でどんどん明かされると思います。「漫画版は滅亡した後の世界をどう生きるかという話」、「小説の方は滅亡するまでの話」とすみわけをしてまして、作品における≪テーマ≫や役割が異なっているんですよね。漫画はキャラクターに関係する話をメインにしているので、「謎解き」はゆっくり進行しているんですけど、小説の方は、大きな謎に振り回されてストーリーが進んでいて、それが明かされるところが見どころです。

──世界が滅亡した際の核心的な真実は、漫画でもまだ明かされていませんよね?

:所々にヒントは入れていますけどね。それはまだバランスを取りながら、ハラハラしながら書いてます。

小菅:確定はしていないですよね。

:それらしい描写は、漫画の1話目から出してます。先ほども少し触れましたが、実は情報の開示の仕方は、漫画と小説で調整しています。小説は、情報開示をサプライズにできるんですが、コミックの方は情報開示があまりサプライズにならないんですよね。キャラクターたちが、そもそも、あんまり謎に興味がないんで……。

──それはなぜですか?

:優一郎たち、漫画に登場するキャラクターは滅亡後の世界ということもあり、滅亡の理由よりも、「吸血鬼を倒す」とか「家族を守る」とか、自分たちの目的を達成することが大切で、日々を必死に生き抜くことが彼らにとっては大事なんです(※1)。そのため、「日々を生き抜く」ことを中心に書いています。一方で、滅亡前の世界である小説版のグレンたちは、より大きな人類規模の滅亡という「運命」を背負って物語が進んでいます(※2)。「人生」と「運命」、異なるものを≪テーマ≫に物語を書いているので、読者の皆さんは、違う印象を受けるかと思います。

──なるほど。

:印象の異なる二つの物語ではあるんですが、それらをどちらも読むことで、より面白く感じるようになるという形に、「セラフプロジェクト」全体の作品の方向性を舵切りしましたね。

──どちらかをメイン媒体で、もう一つがスピンオフ……ということではないんですね。

栗田:そうですね。最初はどちらかに軸足を置く展開も考えたんですけど、それを違う会社で展開するのは難しいですよね。原作あっての派生コミカライズのようなやり方は。だから、鏡先生にやっていただいて良かったです。どちらにも軸足を置いた、両面原作にちゃんとできましたので。

:でも、同時に始まる両面原作だったので、僕は当初「両方読んで、より面白い作品に」と考える一方で、「どちらか片方だけ読んでも楽しめる作品になるように」、とも思っていましたね。そのため「過去と現代」を分けたのも、良かったと思います。「過去と現代」と時間軸が8年も離れていると、片方だけ読んでも成立するんですよね。

──確かに、そうですね。

:それに「過去と現代」がもっと近いと、リンクの仕方が激しくなりすぎて「あっちで書いたから、もうこっちでは書かなくていいや」という気分になりやすいと思いますが、「過去と現代」が離れたため、一から書いていける。同じレーベルでコミカライズなりノベライズなりだと、どちらかの軸足が強くなるので、そのバランスがとりやすい環境だったのが良かったですね。

(※2) 『終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅』第1巻 P225
間もなく世界が崩壊することを知った一瀬グレンは、仲間と共に滅びの運命に抗う。

──普通のメディアミックスの場合、どうしてもどちらかがスピンオフのようになってしまいますもんね。

:1巻同時発売というのも良かったですよね。例えば、漫画の方を先に初めて、それがすごく人気になってしまったら、小説版の冒頭から、優一郎とミカエラが出ないなんてこと、普通はできないと思うんですよ。同時にスタートしたから、それぞれの物語が、それぞれに進んでいって、でもそれがちゃんと繋がっているという意識を持ちながら、書くということができたと思うんですよ。

小菅:その代わり、作家さんにはすごい負担ですけどね。鏡先生の仕事量は尋常じゃないですから。それで、他社レーベルの小説も書いているんだからすごい。

栗田:本当に頭が下がるといいますか、朝8時にファミレスに行ってますからね。一日中ファミレスで執筆。

:ファミレスで「世界の滅亡」について、妄想してますからね(笑)。